どーも元施設暮らしで元受給者の者です。先日2021年8月、約半年間に渡った生活保護期間が終わり、めでたくフリーターとして今を生きています。
そんな私が生活保護になったのは、突き詰めていくとやはり「うつ病」が原因。
うつ病症状が出て仕事を辞め、その後働きたくなくて無職期間が続き、結果的にうつ病が悪化、身の回りのものを捨て自殺の準備をし、最終的には自殺未遂…。
正式にうつ病と診断されたのは自殺未遂直前でした。「死ぬ前に自分の状況を知っておこう」と思い精神科へ行き見事診断されたわけです。
このあたりはこちらでも書きましたね。
あえなく自殺は未遂に終わり、死ぬ恐怖に勝てなかった私には生きる道しかなくなりました。
お金も住まいもスマホも何もかもを捨てた私には生活保護しかなく、なんとか役所までたどり着き生活保護申請&施設暮らしの開始となったわけです。
それからと、今の、心の話をば。
うつ病なんて誰にも分からない
当初、役所で生活保護を申請したとき、役所の方々は私を見て「精神的に問題がありそう」という印象を持ったそうです。明らかに暗くて弱気でグッタリしていたとのこと。私がうつ病と診断されたことを話すと「そういうことか」と感じたそうです。
ただ、最初からうつ病だと思ったかというとそうでもなかったようで。生活保護申請者特有の「純粋に元気がない人、覇気がない人」なんてよくいるそうですし、例えば酒やギャンブルに溺れている人などは、その趣味趣向を楽しんでいるとき以外は全く元気がなかったりするとのこと。
例えば学校のクラスでもそうだと思いますが、誰とも遊ばず一人で静かに椅子に座っている人なんていくらでもいますよね。それをうつ病だとは思わないでしょう。
しばらくして、私はアルバイトの面接をいくつかやりました。そして今現在もアルバイトをやっています。たくさんの人がいるアマゾン倉庫です。
面接の時から今に至るまで、「あなたはうつ病ですか?」なんて聞かれたことはありませんし、特別元気がないようにも見られたことはありません。普通に世間話もするし他愛ないことで笑いあったり愚痴を言いあったりします。
だれも、赤の他人を見てうつ病かどうかなんて分からないし気にならないのです。
「健康で元気だった頃」と「うつ病で元気じゃなくなった頃」を比べられるくらい身近な相手、同僚などでもない限り、他人のことなんて気にならないのが普通なんでしょう。
それに、面接などの場で「私はうつ病です」などど言う必要はありません。怪我や持病で度々休んだりちゃんと仕事が出来ないケースが発生しそうなら伝えておく必要はありますが、精神疾患の多くはその類ではないはず。少なくともアルバイト程度なら病気療養中・通院中かどうかを伝える必要もありません。
ちなみに、住所などの登録時には番地まで書いて建物名を書かなければ施設暮らしかどうかも相手には伝わりません。これはパソナの方に教えてもらったテクニックです。
わざわざ自分が生活保護でうつ病で施設暮らしであることなんて言う必要はないし、バレることもないのです。
うつ病って何がどうなったら「完治」なのか分からないよね
私がなぜうつ病治療をしなかったのか、の話をします。
実は、生活保護当初は治療(通院なり薬の摂取なり)はするつもりでした。
しかし、私をうつ病だと診断してくれたクリニックが生活保護に対応しておらず、役所が出してくれる医療券や調剤券が使えなかったのです。そのクリニックで治療・通院を続けるには実費負担しかありませんでした。※結構有名な医療機関だったんですが、それでも生活保護と連携できないところはあるみたいですね…
生活保護では実費による治療・通院は推奨されておらず、医療券などが使える医療機関の利用を強く推奨されます。医療券以外に特別な医療扶助もありませんし、別途お金も出ませんからね。「保険も切られた状態で実費負担で通院なんてありえない」のです。
で、別の医療機関でうつ病治療をするとなるとまた問題がありました。
うつ病の情報連携?というか、別の医療機関に対して私がうつ病であることを伝え、治療を開始する手段がなかったのです。※うつ病診断書も捨ててしまっていたため
前のクリニックから伝えてもらうにしても診断書の発行でお金がかかりますし、かといって別の医療機関で完全に初めから精神病の診療を受け、うつ病と診断されるのを期待するというのも正直個人的には微妙でした。というか面倒でした。
なので。
前のクリニックでうつ病と診断された際に色々と対策(外に出て日光を浴びる等)を伺っていました。それを実践しながら就活をすることにして、医療機関でのうつ病治療は辞めることにしたのです。このあたりはちゃんとケースワーカーさんとも相談しました。
ケースワーカーさんは「では、自分でどうにもならなかったら通院しましょう。」と言ってくれ問題なく了承してくれました。あちらとしても早く社会復帰して生活保護から脱却してくれることを望んていたのでしょう。
それにそもそも論ですが、うつ病って何がどうなったら「完治」判定になるのか分からないですよね。
ネガティブじゃなくなったら完治?いやネガティブ思考なんて誰でも持ってるでしょ、って感じですし。やる気が出ない状態が収まったら、といってもやる気なんてその時々で変わるものですよね。精神病ってそのあたりが微妙な気がします。
治療が長びいて生活保護が終わっても薬代がかかるようじゃ困りますし、通院が多ければ多いほど精神的なネガティブ効果も高まる印象です。「また病院か…」みたいな。
通院中、療養中といったステータスは自分にも他人や就活に対してもデメリットしかありません。
精神病のことを、「気の持ちようだ」とか無責任なことを言うつもりはありません。実際私は自殺未遂までいってるわけですし。
ただそれでも、自身や近しい周りの人間が問題ないと判断できるのなら「治ったつもり」で大丈夫だと思うのです。
私がうつ病だと知っているのはごく一部の人たちだけ。ケースワーカーさん、ハロワやパソナの担当者さん。その人達も当初は私の精神状態や体調を不安視していましたが、2ヶ月も経つと「今のあなたがうつ病だとは全然思えない」と言われました。
役所へのうつ病報告は診断書がなくてもできた
診断書の発行にはお金がかかります。確か3000円とかだったかな。私は自殺未遂前に捨ててしまいました。
しかし診断書を持っていなくても再発行してもらう必要はありません。うつ病を診断された時期と病院名を役所に伝えれば役所側が調べてくれます。高額ですし発行せずに済むならそのほうがいいです。
また、診断書がなくても「病気療養中扱い」にしてくれます。
生活保護ではこれが結構大きくて、病気療養中であれば就職活動・労働をしなくてもよくなるのです。
生活保護を受けている間は、可能な限り就職活動を行う必要があります。就職先を探した日数、方法、面接を受けた回数などそういった活動記録を毎月報告しなくてはなりません。すでに働いている場合は収入報告時に働いた日数も報告必須です。※収入報告書
が、病気療養中であればこのあたりが免除になるのです。そのかわりに通院して病気を完治させる方向で活動する必要がありますが、うつ病など完治判定が難しいものは無限に療養中期間を伸ばすこともできるでしょう。
そのまま年を取って仕事探しもままならなくなれば、施設にいたお爺さん達のように病気じゃなくても「どうせ仕事なんて見つからないから」という理由で就職活動すらしなくて済むようになります。
「ずっと働かずに生活保護で生きる(しかない)」
ことも可能になるわけです。まぁそれが良いことか悪いことかは関係なく、そういう現実があることを施設暮らし中に目にしました。
【経験談】散歩、公園、カフェ巡り。うつ病には外出が一番効く
クリニックでうつ病診断された際にうかがった「うつ病対策・治療方法」について書いていきます。※お医者さんに聞いた内容はうろ覚えですが…
うつ病に対する対策・治療方法として、以下の4点を紹介されました。
- 日光を浴びること
- 趣味に没頭するなどして楽しむこと
- バランスよい食事を摂ること
- 投薬
2つ目と3つ目は施設暮らし中は難しく、4つ目はそもそも薬を捨ててしまっていたので無理。ということで自ずと1つ目の「日光を浴びること」に注力しました。
先生の話によると、うつ病に陥る大きな要因の一つに「セロトニン」という脳内の神経伝達物質の存在が関わっているそうで。※セロトニンの名称なんて流石に覚えてなかったのですがうつ病で調べたらすぐヒットして思い出しました
セロトニンには、ドーパミンやノルアドレナリンを制御し、精神を、というか心や情緒を安定させる働きがあるそうです。このセロトニンが少なくなると精神の安定が崩れ、うつ病などの精神疾患になりやすくなるというわけです。
んでこのセロトニン、なんと日光を浴びることで増加するそうなんです。摩訶不思議ですが人間の体なんてそんなもんですよね。
施設暮らし開始後、お金もスマホも何もない私はそのことを思い出し「散歩」の日々を開始しました。
なんかこの記事、まだうつ病だった頃の暗い感じ、ネガティブな感じがしますね(笑)
この頃はグーグルマップなども使えませんでしたが、近所にどんなお店や建物があるのか調べながら歩く日々は割と楽しく充実していました。これは後で調べて知ったことですが、散歩して太陽に当たる以外にも「運動すること」「汗を流すこと」もうつ病改善に効果があります。
アルバイトを始めてからは川越へ観光に行ったり、カフェ巡りを始めたり、行ったことのないお店(安いとこばかりだけど)に行ってみたりと「初体験&心を豊かに」を目的として外出するようになりました。
マイナスな記憶や経験を、プラスな(ポジティブな)もので上書きしていこうと思うのです。
現状、私は治療や通院をしていませんのでまだ「うつ病」扱いなのかもしれません。
が、少なくとも私自身はもう1ミリも自分がうつ病だとは思っていませんし、他人からそういうふうに見られたり扱われたこともありませんね。そう扱ってほしいとも思いません。
しかしうつ病を経験したことで、実際に自分がうつ病と診断されたことで、自分でも「心のケアには気をつけよう」と考えるようになりました。
なるべくストレスをためないように生きる。
それは、「最悪何もなくなっても生活保護や施設暮らしで生きていけるな」という事実を実体験として経験したことが影響しているのかもしれません。「ちょっとくらいうまくいかなくても生きていけるじゃん」っていう。
生活レベルを上げすぎず、お金稼ぎを急がず、他人と自分を比べすぎないように、自分が求めることだけをこじんまりとやる。それで凄く幸せなのです。現状にとても満足。もっと貰えるならそりゃ欲しいけど、なくても大丈夫。そんな感じです。
以上、元うつ病、元施設暮らし、元生活保護受給者の者からの現場リポートでした。
似たような誰かの参考になれば、似ていない誰かの笑い話になれば、幸いです。